松井のインターネット英文情報速読メソッド

書籍『マロンメソッドプログラム』の続き

「松井のインターネット英文情報速読メソッド」とは

グローバルビジネス英語で最も求められる英語力はインターネット英文情報速読力です。ここでは誰でも簡単に習得して実践できる英文速読法を公開します。

 一本一本の木立(各センテンス)を見るのではなく、森全体(本文全体)を見ることが速読の鉄則です。この鉄則を実践できるのがトップダウン(Top-Down)方式タイムドリーディング(Timed-Reading)方式という二つのリーディング方式です。この二つのリーディング方式をオーディオ・リンガル(Audio-Lingual)英文読む下しメソッドというメッソドで実践すると速度力は必ず習得できます。そうした前提の下、早速、本題に入りたいと思います。

速読を可能にするための第1のツール:トップダウン方式

トップダウン方式とは

 日本の伝統的な英文の読み方にボトムアツプ(Bottom-Up)方式という読み方があります。先ず、センテンスを1文ずつ厳密に読んで解釈し、その作業の積み重ねからそのパラグラフ(段落)の要旨をまとめ、最後に各パラグラフの要旨をつなぎ合わせて全文(Passage)の要旨を作るという方式です。

 このリーディング方式は速読を最も邪魔する読み方です。なぜなら構文的に難しい文に遭遇するとそこで立ち往生してしまいいつまで経っても前へ進めなくなり時間がどんどん経過するリーディング方式だからです。そればかりかこのリーディング方式が必ずしも全文の正確な要旨につながるとは限りません。一本一本の木立を厳密に観察した結果が森の全体像になるとは限らないという論理と同じです。

 ボトムアップ方式と対極的な読み方がトップダウン方式です。トップダウン方式とは同じ全文を以下の要領で3度読む読み方です。

第1回目のリーディング

 森の全体像、つまり全文全体の要旨を大まかに把握します。構文が分からないから次の文に移れないではなく、そういう文は“飛ばす”などして先ず1回読んでしまい全文の要旨把握に努めます。

 どんな文を書く人でも英語のネイティブスピーカーのほとんどは要旨に関わる部分は誰でも分かる易しい構文で書く、これが英語圏の伝統です。構文や単語の難しい文は自分の知識を誇示する場合がほとんどだ、と友人の米国人ジャーナリストが皮肉の笑いを浮かべながら言ったのを今でも鮮明に覚えています。つまり要旨に関わるところでは難しい文は使わないのが一般だということです。

 ですから難しい文は飛ばしても1回読めばおぼろげながらも要旨が把握できるのが普通だということです。分からない文のところで立ち往生してしまい、前にするめないということは必然的に全文把握を放棄したのと同じです。

第2回目のリーディング

 各パラグラフの要点を把握することを主眼にして読みます。第1回目の時には文意が分からなかったセンテンスでも森の全体像が見えたことで分かってくる場合が多いです。その結果、各パラグラフの要点を押さえるのが楽になってきます。なお、パラグラフリーディングは後で説明します。

第3回目のリーディング

 各パラグラフの要点を繋ぎ合わせて文全体の要旨を鮮明にする作業です。全体像が見えてくると不思議ですが、今まで分からなかった1本1本の木立、つまり立ち往生したセンテンスの意味も分かってきます。

トップダウン方式を実践するためのスキル

 トップダウン方式を実践するためにはそれなりのスキルが必要です。以下は前項で説明したことのポイントをまとめ上げたものですが、トップダウン方式を実践する上でとても重要はスキルです。是非、長い英文を読む場合には実践してみて下さい。必ず役に立ちます。

スキル1.トップダウン方式では全文を3回読むこと!

 第1回目のリーディングで全文の要旨の大まかな把握、第2回目のリーディングで各パラグラフの要点の把握、第3回目のリーディングで要旨の肉付けする、これがトップダウン方式の大原則です。

スキル2.全文の基本構造を知ること!

 全文の基本構造を知ることが第2のスキルです。

 全文はいくつかのパラグラフから構成されています。第1パラグラフでは通常、問題提唱が行われます。そして最後のパラグラフでは結論が提示されるのが普通です。その間のパラグラフは問題提唱から結論を導くために事例が語られるパラグラフです。全文のこの基本構造を知っておくことは、スピードリーディングではとても重要なことです

スキル3.全文を構成する各パラグラフの役目を知ること!(パラグラフリーディングその1の原則)

 第2回目のリーディングの焦点は各パラグラフの要点の把握です。そのためにはパラグラフの基本構造を知っておく必要があります。パラグラフは第1パラグラフで問題提唱、最後のパラグラフで結論、その間のパラグラフでは問題提唱から結論を導くための事例が語られるのが普通です。

スキル4.各パラグラフの基本構造を知ること!(パラグラフリーディングその2の原則)

 最初の1、2文(センテンス)はトピックセンテンス(パラグラフのテーマ)、最後の文は結論、その間の文はサポーティングセンテンス(トピックから結論を導くためのセンテンス)です。

スキル5.スピードリーディングの原則は森から木立を見ること。

 日本の伝統的な読み方はボトムアップ方式、つまり各センテンスを厳密に読み、その後で各センテンスの意味を合計すれば全文の要旨が出せる、という読み方だという点はすでに説明しました。しかしこれでは全文の大まかな輪郭を把握することも不可能です。スピードリーディングの大原則は森から木立を読む方式、つまり大まかの要旨を先ず捉え、それから細部の把握に入る方式です。これこそスピードリーディングの心臓部分です。

速読を可能にするための第2のツール:タイムドリーディング方式

タイムドリーディング方式とは

 平たく言ってしまえば、タイムドリーディング方式とは制限時間を設けて読む方式です。スピードリーディングにはタイメドリーディング方式は欠かせないツールです。時間があると、立ち往生したセンテンスに10分、20分と時間をかけてしまいトップダウン方式は実践できなくなります。時間制限があれば立ち往生したセンテンスも飛ばすことが可能になります。そしてトップダウン方式が成立します。つまりトップダウン方式とタイムドリーディング方式は表裏一体といった関係にあります。

タイムドリーディング方式を実践するためのスキル

スキル1.集中(コンセントレーション)

 速読の絶対条件は最初から猛ダッシュで読むことです。そのためにはすべての知力を集中させて全文に取り掛からなくてはいけません。

スキル2.事前質問(プリリーディング クエッション)を行うこと。

 これから読む文について事前にイメージを掻き立てておくことは速度には効果的です。こうした知力の臨戦態勢を築き上げてくれるのが、いわゆるプリリーディング クエッションです。このリーディングは文のタイトルなどを頼りにその内容に関する事前質問をする方法です。

 先入観を持ち込んでしまうのではと危惧する人もいます。しかしそうしたマイナス効果はたいしたものではありません。むしろこれから読む文のテーマに関する知識の整理に役立ちます。さらに競技者が競技に入る直前に行う精神統一を兼ねたイメージトレーニングに似た役割を果たします。速読を速読たらしめるための絶対条件の一つです。

スキル3.現時点での自分のリーディングスピードの設定

 どのスピードで読むかがタイムドリーディング方式では生命線です。英語が苦手な場合には1分間80ワードで始めるのが適切だと思います。英語はまあまあだと思う人は1分間90ワードが妥当だと思います。英語が得意な人は1分間100ワードで始めることを奨めます。日本人の場合にはどんなに英語が得意でも1分間160ワードが限界だと思います。

 自分の得意なテーマか否か、文構造の難易度はどの程度かなどを、文を一瞥しながら判断することもリーディングスピードを決めるのには重要な要素です。また速読訓練をどの程度受けてきたかも大きい決定要素だと思います。

スキル4.設けた制限時間内で同じ文を3回読み切るトレーニングを徹底的に行うこと。

 トップダウン方式の原則は3回読むことだと繰り返し言ってきました。タイムドリーディング方式はトップダウン方式を実践する上での絶対条件です。ですからタイムドリーディング方式では3回読むというトレーニングを徹底的に行うことは重要なステップとなります。

スキル5.「飛ばし」の実践

 構文的に把握できない箇所、読んでも意味が把握できない箇所は遠慮せずに「飛ばす」ことがトップダウン方式では鉄則です。表裏一体関係にあるタイムドリーディング方式でも同じです。分からない箇所で立ち往生してしまったら、速読にはなりません。また3回読んで細部に迫っていくトップダウン方式では飛ばした部分が全体像を把握する過程で見えてくるからです。「飛ばし」の精神こそ速読の真髄です。

スキル6.大まか要旨を出すためには全文の最初の1、2文、最後の1、2文を狙い打ちせよ!

 最初のパラグラフに問題提唱があり、最後のパラグラフに結論があることは再三明らかにしてきました。つまり問題提唱と結論が見えれば、通常、大まかの要旨は分かるということです。

 問題は最初のパラグラフのどの箇所に問題提唱があるかです。最初の1、2文で問題提唱を行うのが英文の書き方の定石です。同様に最後のパラグラフの最後の1、2文に結論を置くのが普通です。ですから大まかな要旨を出すためには全文の最初の1、2文、そして最後の1、2文を読むことが効果的です。

速読力を最も効果的に習得する「オーディオ・リンガル英文読み下しメソッド」

オーディオ・リンガル英文読み下しメソッドとは

 トップダウン方式もタイムドリーディング方式も速読を可能にするための仕組みです。そしてこの二つの方式を実際に可能にするメソッド、つまり速読力を実際につけるメソッドがオーディオ・リンガル英文読み下しメソッドです。

 速読力をつけるのに一番効果的なメソッドは英文を読んで速読の訓練をするのではなく、リスニングでリーディング力をつけることだと言われています。このメソッドだと構文的に分からない箇所で立ち往生するわけにも行きません。分からない箇所はどんどん飛ばさざるを得ません。また英文解釈するなどという予備校の授業方式では対応できません。つまりトップダウン方式、タイムドリーディング方式を可能にする最も効果的な実践訓練がオーディオ・リンガル英文読み下しメソッドだということになります。

 各英文センテンスを正しく朗読する場合には、必ずフレーズ(句)単位で区切って読まなくてはいけません。これを私たちはフレーズ・バイ・フレーズの読み方と言っています。オーディオ・リンガル英文読み下しメソッドとはフレーズ・バイ・フレーズで読まれている各センテンスを聞き、構文的な骨格を頭から捉え文意の概要を素早く頭の中で捉えるメソッドです。

 このリスニングを通してフレーズ・バイ・フレーズの読み方を習得することで、関係代名詞だから下から訳し上げて「電線にとまっているところのあのツバメをご覧」と訳さなくてはいけないなどという速読力を阻害するような日本の伝統的読み方を排することができます。そして一気に速度力を増すことが可能になります。

 しかしここで留意しておかなければいけない点が一つあります。それは何度読んでも意味が取れないような難文をリスニングで理解できるはずがありません。そういう文にはどう対応したらよいかと言う点です。

 そういう文は聞き流せばいいのです。つまりリーディングの時の「飛ばし」と同じです。何度も強調してきましたが、英文を書く場合に一番大切なことは読者に必ず理解してもらう必要のある全文の要旨に関わる箇所は誰にも分かる易しい文、つまり難文ではなく普通の文で書いてあるということです。ですから耳を通して理解できた箇所をつなぎ合わせれば全文の要旨は理解可能になるということです。

聞き取れる普通のセンテンスとは

 一般読者が読む本には物語系列の本、専門分野の本、エッセイ系列の本など様々な分野の本があります。比較的楽に読める一般読用のこのような本には普通のセンテンスと構文が難しくて一読では理解できないセンテンスから出来ていると言われています。その比率は読みやすい文80パーセント、読みにくい文20パーセントくらいだと一般に言われています。ここではこの普通のセンテンスとはどのようなセンテンスなのかを明らかにしておきます。簡単に言えば以下3つの要素を含んだセンテンスだと思います。

  1. 長くても30~40ワードくらいの長さ

  2. 通常、主語+動詞が一つしかない、つまり節が一つしかないセンテンス(これを単文といいいます)か、2つの節が等位接続詞(and, butなど節と節を対等に結ぶ接続詞)で結ばれているセンテンス(これを重文といいます)など文の構造が分かり易いセンテンス

  3. 節が従位接続詞(節と節を対等ではなく主節と従属節の関係に結ぶ接続詞)で結ばれているセンテンス(これを複文といいます)も含まれますが、文構造が把握し易いセンテンス

 普通のセンテンスで書かれている文の典型はニュースの記事などです。誰もが理解できる必要があるからです。普通のセンテンスが聞き取れる訓練をすればリスニング力ばかりか速読の養成にもつながっています。

 オーディオ・リンガル読み下しメソッドを是非実践してみて下さい

戦略的英語対話力とは何か。またどの様にして習得できるか。

 日本人にとって英会話とは、他の外国語と同じように、異文化の人々と直接対話をして相互理解を深めるためのツールです。同時に英会話力とは外国人とディスカッション、ディベートを有利に進めるための戦略的英語対話力です。

 どんなに頑張っても中学から英語を始めて日常生活が日本語という環境で英語のネイティブスピーカーのような英会話力を習得することは困難なことです。またそんなことは必要ではありません。本書の英会話速習法では、けっして流暢でないが日常生活で意志の疎通ができる英会話力は十分習得できます。

 しかし英語でビジネスを行う場合には流暢があればそれにこしたことはないです。時には流暢さに欠ける分を補う必要があります。それだけではありません。ビジネスを成立させなくてはいけません。そうでなければグローバルビジネスでの英会話が成立したとは言えません。ある意味、一味違う英会話力が求められるということです。一味違うとはどういうことでしょうか。戦略的英語対話力という英会話力が求められるということです。言葉は難しいですが決して難しい内容ではありません。戦略的英語対話力とは、相撲に例えれば、十分に稽古をしておいた自分の相撲を自分の土俵で取り切るということに等しいです。

 自分が到達したい結論にテーマに沿って話を進めることが戦略的英語対話力です。そのためには次の3つのステップが必要です。

  1. 自分が語りたい内容と導きたい結論を事前に英語で書いて練習しておくこと。必要と思う英文は暗記して声に出して何度も練習しておくこと。この発声練習は対話相手にとってそれなりに流暢な英語に聞こえます。

  2. 対話の指導権を握ってしまい自分の発言に相手が応答していくという対話路線に乗せることです。ひとたび対話の相手が路線に乗ってしまうと、相手の発言内容の範囲は限定されるので発言内容はほぼ100%理解できます。

  3. 自分が導きたいと思い事前に練習しておいた結論に相手の感情を害さずに少しずつ近づき目標を達成すること。

英文速読力と戦略的英語対話力の習得を目指すDream ABC Advanced Skype Programとは

プログラム受講対象者

  1. ビジネスであるいは自己啓発のためにインターネット英文情報を読んでいる人。しかし速く読むことができない。

  2. リスニング、スピーキング、つまり英会話は“読み”より苦手な人

習得目標

英文速読力と戦略的英語対話力

学習ツールは独自に開発されたDream ABC Advanced Skype Program

 上で紹介した「松井のインターネット英文情報速読メソッド」を完全習得している外国人講師が1対1、この速読メソッドに基づき英文速読と戦略的英語対話のメソッドを英語だけで教えるプログラムです。

プログラム受講にあたっての原則

  • 1回25分の授業を2回連続して合計50分を1度に受けることを原則とします。

  • 取り扱いたいインターネット英文情報を決めてください。

  • 受講日の2日前までに講師を予約してください。ただし、

    • 決めたインターネット英文情報の英文を講師に直接添付で送っておいてください。

    • 学びたい範囲を必ず講師に指示しておいてください。

絶対やっておかなくてはいけない予習

  • 「松井のインターネット英文情報速読メソッド」に従って指定英文の予習をする。具体的には・・・

    • 読む時間を決める。そしてその制限時間内で行うこと。

    • 1回目リーディングでは、全文を読んで何を言っているのか大まかな意味を捉えてみる。

    • 2回目リーディングでは、各パラグラフの要点を英文でまとめる。その要点を日本語にも直しておくこと。

    • 3回目リーディングでは、全文をもう一度読んで全文の意味を自分で定めた英文でまとめる。また日本語でもまとめてみること。英文要約を日本語に直しておくこと。

  • 戦略的英語対話力習得のための予習

    • 上の予習で扱った速読用英文を用いて、対話で自分が語りたい内容のポイントと導きたい結論を英語で書いて声を出して練習しておくこと。暗記しておけばもっと良いです

「松井のインターネット英文情報速読力習得メソッド」のための授業内容

指導する外国人講師ももちろん十分な予習で臨みます。授業形態はスカイプ、1対1、英語だけです。前半の25分が使用されます。

  1. 学習範囲の英文(単語を含む)を大きな声で読む練習。

  2. 予習しておいた受講者の各パラグラフの英文要点をチェックして文法、単語などのミスの訂正、さらにより良い要点に仕上げる。

  3. オーディオ・リンガル英文読み下しの練習:講師が学習範囲の英文をフレーズ・バイ・フレーズで読み受講者は英文を見ないで聴き内容が聴き取れたかどうかをチェックする。また受講者はフレーズ・バイ・フレーズの読み方を習得して自分で既習英文を時間のある時に読んでみる時に使えるようにする。

戦略的英文対話力習得のための授業内容

 略的英文対話力とは何かを繰り返しになりますがもう一度説明しておきます。戦略的英語対話力とは自分が到達したい結論に流暢な英語ではないが目的意識的に対話を持っていく戦略です。そのためには3つのステップが必要だが本章<B>を参照して下さい。

 この3つのステップの内容を踏まえると以下のようになります。

  1. 受講者が予習で用意した戦略的対話で受講者、講師間で対話を行います。その時、講師は受講者の発言に逆らわずに受講者の対話戦略がその通りに進むよう協力します。

  2. もう一度、同じ対話を行ってみます。受講者の各発言ごとに英語の使い方で間違えていた場合には講師が訂正します。もっと良い発言があると講師が判断した場合には、講師が訂正します。そして訂正された発言で対話を進ませます。しかし講師は発言者の思惑通りに対話が進むことは許さず進路を妨げようとします。

  3. ③最後に②で作り上げた戦略的英語対話例を練習して終えます。